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次の日から、のび太の昼寝はあの場所になった。 出木杉は本を読んで、その横で眠る。 会話は殆ど無いが、とても気持ちが良かった。 こういう類いの気持ちの良さもあるのだと、のび太は初めて知った。 この日もいつものように出木杉の横で眠っていたが、寝返りを打ったらしく、気付けばくっつくようにして眠っていた。 動揺して離れようとしたところを、出木杉の大きな手がのび太の頭をやんわりと引き寄せる。 そのまま髪を撫でられて、心地良さにまた眠りに落ちた。 放課後の遊びは相変わらず続いていたが、最近、すっかり気が乗らなくなった。 元々自分が気持ち良くてやっていた事だ、そう思えなくなれば肉体的にも精神的にも負担なだけだ。 数居る中でもよく遊ぶ級友達に、「もうやめる」とだけ告げる。 のび太と同じ感覚で遊んでいた男達なので、「ふーん」とあっさり承知した。 上手に遊ぶ奴らだから、きっとまたすぐに別の遊び相手を見つけるだろう。 放課後にこんな清々しい気持ちになるのは久々の事だった。 のび太の足は自然あの場所へと向かう。 昼間しか行った事が無いので、放課後も居るかどうかは分からない。期待と不安で足早になる。 林を抜け、見慣れた長い足が見えた時は心臓がドキリとした。 その場で立ち止まって、呼吸を整える。 ゆっくりと近付くと、出木杉は読んでいた本から顔を上げ、のび太を見て驚いたように口を開きかけたが、何も言わずに微笑んだ。 そのままいつものように寝転がる。 最近は、出木杉の足に身を寄せながら眠っていた。 「また眠るのかい?」 放課後まで眠ろうとするのび太に、笑いながら問う。 だがその手は昼間と同じように、のび太の頭を優しく撫でてくれた。 なんだかもっと撫でて欲しくて、離れようとした手の平にのび太は無意識に頭を擦り寄せていた。 出木杉の手が一瞬止まり、のび太ははっとなる。 頭上で微笑む気配があり、すぐにまた撫ぜてくれた。 のび太は嬉しくてじわりと頬が熱くなるのを感じた。 のび太はもう自分でも分かっていた。 自分は、綺麗で優しいこの男に、慈しまれたいのだ。 だからしばらく無言で撫でてくれていた出木杉が「僕の子犬になる?」と言って来た事に、躊躇わずコクリと頷いた。 でも子犬になるというのは、具体的に何をすれば良いのか。 のび太の問いに、自由にしていれば良いよ、と主人は答えた。 その夜は、嬉しくて嬉しくて、のび太は珍しくなかなか寝付けなかった。 それからというもの、昼も放課後も、のび太は主人の傍を離れなかった。 今迄と同じと言えば同じだが、際限無く可愛がる出木杉に、のび太も甘えるようになった。 何をしても怒らないのだろうかと一度読書を邪魔してみたが、こらこらと笑いながら窘めるだけだった。 優しい時間。 自分を包む穏やかなぬくもりに、のび太はこの上無い幸せを感じた。 時折ぞろりと目を覚ます情欲は、奥底に閉じ込めた。 挨拶をしながら教諭室を出る。 抜き打ちテストでさんざんだったのび太は教諭に呼び出されこってり搾られた後、大量の課題と共にやっと解放された。 溜息を吐いて、荷物を取りに教室へと歩き出す。 最近は授業が終わってすぐにあの場所に行っているので、この時間に校舎内にいるのは久しぶりだ。 もうしばらくすればじき茜色に染まり始めるだろう太陽の柔らかな温もりが頬に当たる。 廊下の窓から見る景色は、以前窓から眺めた景色と同じものだ。 なのに、空は何処までも高く、空気は澄みきっている。その世界に自分もいるのだと、確かに感じられた。 ああいう遊びで気持ち良いと感じていた自分が今はひどく遠くに思える。 少し考えに没頭して歩いていたのび太は、前を立ち塞いだ人物に気付くのが遅れた。 「野比、女王様業復活か?」 そのまま第三図書室へと連れ込まれた。 連れて来た奴も含めて室内には3人。揃いも揃って勘違い気味だった男ばかりだ。そうじゃなければこんな事しないだろうが。 「もうやめると言ったはずだ」 「そんな急に言われても、俺らの事も考えてくれよ」 知るか、と言いたいが、こういう奴らは刺激しないに限る。頭に血を上らせたら何をするか分からない。 下手に抵抗して怪我をするのは嫌だった。 不本意だが、この1回を我慢すれば良い。今迄やって来た事をやれば良いのだ。 「これっきりだ」 「分かってるって」 大人しく従うのび太を、床へと座らせる。 後ろの男がのび太を自分に凭れさせる。ネクタイを解いてYシャツのボタンを外すと、手を差し込んで興奮した仕種で胸を撫で回して来た。 久しぶりの刺激に、直ぐにぷくりと立ち上がる。 その間にもベルトを外され、下着ごとズボンをずるりと引き抜かれる。 そのまま足の間に割り入って来た男が、のび太の膝の裏に手を掛けるとM字開脚のポーズをとらせた。さらに胸に付く程足を折り曲げさせる。 男達の目に、白い滑らかな肌と薄い色合いののび太自身、その奥の密やかな蕾まで全てが晒された。 誰からともなく、ゴクリ、と喉の鳴る音がした。 今は何の変化も見せず大人しく項垂れているのび太自身を指先に乗せ、重さを計るように弄ぶ。 「スグ気持ち良くしてやるから」 秘処へたっぷりとローションが塗り込められる。 解すように入口をなぞっていた指がそのまま1本差し入れられた。 「…っ」 「キツイなぁ」 そのまま中でヌクヌクと動かされ、のび太は苦しさと嫌悪感に眉を顰めた。 ローションを足され、指が出し入れされる。 だんだんと解れて来ると共に、次第ににちゅ、ぬちゅという音が大きくなる。 指が増やされ、さらに卑猥な音が部屋に響いた。 「んっ…はぁっ…」 不本意なはずが、慣れた身体はかつての快楽を勝手に思い出す。 いつのまにかのび太自身も反応し始めていた。 「おい、舐めてやれよ」 3本の指をのび太の蕾に抜き差ししながら、横の男に声を掛ける。 しかし、何か興奮しきった目をした男は、すぐ傍の男の言った事が聞こえていないようだ。 のび太の顔を凝視しながら荒い息でいきり立った己を扱いている。 ゆらりと立ち上がると、のび太の腹の上に跨がって来た。 「何してんだよ」 「もう我慢できねぇよ。俺一度で良いから野比の顔にぶち撒けたかったんだよね…」 冗談じゃ無い。 奉仕してやる気はこれっぽっちも無かった。 だがのび太の後ろの男は、 「女王様の命令違反だけどま〜これっきりだしな〜、野比、ちょっと我慢してくれよ」 そう言って後ろにずり下がり、のび太の頭を床に下ろして両腕を頭上で拘束した。 後ろの男が下がるのと同時に、腹の上にいた男が膝でにじり上がって来て、胸の上にどかりと腰を下ろす。 「うっ…」 衝撃で一瞬息が詰まる。顔の直ぐ上で醜く血管の浮き出た一物を扱く男をのび太は睨み付けた。 「ホラ野比、口開けろよ」 そう言うと、心の中で思い付く限り悪口雑言を巻き散らしながら歯を食いしばって開けまいとしているのび太の鼻を摘んで来た。 「なんだよ面白い事してんなぁ、じゃあ俺ももう挿れちゃおうかな」 阿呆な男の陰で見えないが、足下からそう声がしてズルリと指が引き抜かれ、男の熱い切っ先がピタリと宛てがわれる。 苦しい息を耐えながらも、のび太は下からの衝撃に備えて極力力を抜いた。 だが、そのまま何も起こらない。 でももう息が限界ののび太は訝しく思う余裕も無い。 酸欠で耳鳴りがして、頭もボウッとしてきた。 食いしばっていた歯の根が離れる。 ふいに優しい主人の顔が浮かんだ。 (もう…ダメ…) だがその瞬間、何かをまるで無造作に容赦なく蹴り飛ばすような音が微かに聴こえたかと思うと、直後「うわっお前…」と狼狽えた声が聞こえ、両手が解放される。間髪入れず胸の上の重しが無くなって、同時にのび太の息が解放された。 「ゴホッ…ゴホッ、ハアッ…ハアッ…」 急激に流れ込んで来た空気に激しく咽せる。 ようやく呼吸がまともに戻り、何が起きたのかとゆっくりと身を起こした。 見慣れた長身がすぐ傍らに立っている。 だが、喜ぶ前に唖然となった。 出木杉は、さっきまでのび太の上に乗っていた男を片手で吊り上げていた。 手足をだらりと下げ、呻くだけの男の頬にギリギリと指が食い込んでいる。しかも、男の足は床に着いていない。 呆然と見回せば、のび太の両手を拘束していた男は後ろに投げ飛ばされ、足下にいた男は何をされたのか、床に転がり苦し気に呻いている。 「同意ならばともかく」 静かな、しかし氷のように冷たい声がその場を支配する。 部屋の温度が急速に下がった気がした。 「二度と近付くな…。次は」 殺すぞーーー 静かに続けられた言葉は、言われて無いのび太の心臓の裏まで冷やした。 そのまま無造作に男を投げ下ろす。 比較的軽症だった男が引っ張り上げ、呻いていた男を引き摺りながら転がるように出て行った。 |
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